CGかCV映像か
CV映像では、写っている映像の中の対象物からリアルタイムで自由に三次元座標を読み出すことができます。 つまりCV映像の中で自由に測量ができ、精度は測量精度に達しています。
一方、CV映像からCGを作成することができます。
当社製品PCCI toolによって、CV映像から半自動的にCG化することができます。 テクスチャーも実写から取り込むので、できあがりのCGは実写かCGか目では分からないほど精緻なCGが作成できます。 おそらく世界最高水準のCGであろうと自負しています。 しかしながら、私達はこうして生成したCGがCV映像と比較して本当に有効なのか、最近疑問に思ってきています。
CGにとってはCV映像が元データとなりますが、CG化することで何か良いことが起こるのかというと、実は何も起こっていないという結論です。 先ず、CV映像からCG化するのに、当社比較でCV映像を仕上げる場合に比較して、10倍の費用と時間がかかります。 10倍の費用と時間を掛けて何が良くなったかと言えば、せいぜい視点が自由に変更できるようになったことぐらいです。 しかし、このことで何か情報が増えたことにはなりません。
CV映像で見えていないところはCG化してもそこに新たな情報が生まれるわけではありません。 CGにはCV映像以上の情報は何もないだけではなく、CV映像からかなりの情報が失われてしまっていることが、重要なマイナスであることに私達はいま気づき始めています。
三次元の座標精度に関してCV映像は測量精度を保っていますが、CG化したものは一気に数分の1の精度に落ちてしまいます。 また、CV映像に写っている対象が全てCGに表現される保証はありません。 反対にCGにあるものが必ずCV映像に有るとは限りません。 つまり、現実に存在しているとは限らないということです。
CGはあくまで絵画と同じ、創造したものであり、実物である保証はありません。 一方CV映像は現実そのものを映し出したものであり、CV映像に写っているものは必ず現実にその位置座標に存在していたものです。 CV映像は更新も自由です。 座標統合することによって簡単にデータを更新することができますし、新旧の比較も可能です。
ならば、CV映像そのままを利用することの方が、あらゆる点で有利ではないのか、との考えに達しました。 CG化に10倍の費用と時間がかかるのであれば、せいぜい5倍の費用と時間を掛けて、視点を換えて撮影することで、複数の視点のCV映像を生成することができます。 必要な視点で撮影していれば、擬似的に視点移動も可能となり、CG的に表現することもできます。 この複数視点のCV映像を使えば、現実世界を最も忠実に三次元として扱うことができるようになります。
この認識は今は我々だけのものですが、この認識を広げることが今後の展開にとってきわめて重要であると考えます。